匿名組合員が「出資対象事業に関与する場合」

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匿名組合員が「出資対象事業に関与する場合」

金融庁の質疑応答は下記の通り


AMがSPCに対して形式的には投資助言に該当する行為を行っている場合、AMが行う助言に対しSPCが匿名組合員の意向を確認し投資判断を行うこととなるが、AM及び匿名組合員が同一の一つの事業者である場合(AMと匿名組合員の両方の地位を有するような場合)には、当該SPCは、匿名組合員の同意を同時に得ていることになる。
したがって、出資対象事業に係る業務執行の決定について実質的にすべての出資者の同意があること(金商法施行令案第1条の3第2項第1号)、出資者のすべてが出資対象事業に常時従事していること(同項第2号イ)のいずれにも該当し、SPCが投資運用業にも第二種金融商品取引業にも該当しないと考えてよいか。

この場合、AM個別事例ごとに実態に即して実質的に判断されるべきものではありますが、ご指摘のような場合には、「匿名組合契約」の性格から、そもそも匿名組合員が匿名組合の事業(出資対象事業)に常時従事すると認められるかが問題となり、「集団投資スキーム持分」の定義(金商法第2条第2項第5号)から除外される要件の1つである「出資者の全員が出資対象事業に関与する場合」(同号イ)に該当するかどうかは疑義があるものと考えられます。

また、SPC(当該匿名組合の営業者)は有価証券である不動産信託受益権に投資を行うものであることから、AMの行為について投資助言・代理業又は投資運用業の登録が必要かどうかは、SPCが金融商品取引業の登録を要するかどうかとも業登録が不要であるとの理解でよいか。
AM及び匿名組合員が、各々複数でかつ同一の事業者であり、複数の当該AMが合議のうえ助言し、SPCが投資判断をする場合においても、同様に理解してよいか。

AMが、SPCに対し形式的には投資一任に該当する行為を行っていて、AM及び匿名組合員が同一の一つの事業者である場合(AMと匿名組合員の両方の地位を有するような場合)には、唯一の匿名組合員であるAMが業務執行の決定をしていることから、当然、すべての出資者の同意があること(金商法施行令案第1条の3第2項第1号)、出資者のすべてが出資対象事業に常時従事していること(同項第2号イ)のいずれの要件にも該当し、当該SPCは投資運用業にも第二種金融商品取引業にも該当しないと考えてよいか。
この場合、AMも業登録が不要であるとの理解でよいか。

金商法第2条第2項第5号の集団投資スキームとして匿名組合契約を利用する場合において、
①一定の重要な事項について匿名組合員の同意が要求されており、
②営業者に対して助言を行う者又は営業者から委託を受けて運用を行う者(アセットマネージャー)と当該匿名組合契約における匿名組合員が同一人である場合には、金商法第2条第2項第5号イ、金商法施行令案第1条の3第2項第1号及び第2号ロの要件を満たす余地はあるか。
また、この仕組みが金商法第2条第2項第5号イ、金商法施行令案第1条の3第2項第1号及び第2号イ・ロの要件を満たす為の条件として、アセットマネージャーの行為が金商法第2条第8項第12号ロに該当する必要はないと考えてよいか。

AMとSPCの個別の実態に即して判断されるべきものと考えられます。

GK-TKスキームで行う不動産開発業務(適格機関投資家等特例業務であることを前提とする。)において、匿名組合員(複数の場合を含む。)が当該不動産開発業務に欠くことができない存在で、かつ当該匿名組合員による出資比率が、エクイティ総額の100%を占める場合、金商法第2条第2項第5号イ及び金商法施行令案第1条の3により、所定の要件を満たせば有価証券に該当しないとの理解でよいか。

ご指摘の趣旨が必ずしも明らかではありませんが、匿名組合員による出資比率は、ご指摘の「出資対象事業に関与する場合」の要件(金商法第2条第2項第5号イ)とは必ずしも関係がないものと考えられます。
また、仮に匿名組合員が出資対象事業に参画する場合を想定しているのであれば、「匿名組合契約」の性格から、そもそも匿名組合員が匿名組合の事業(出資対象事業)に常時従事すると認められるかが問題となり、「出資者の全員が出資対象事業に関与する場合」に該当するかどうかは疑義があるものと考えられます。


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